前回は「公正証書遺言のデジタル化」についてお話しました。
前回のブログ 公正証書遺言 デジタル化について〜2025年10月からの新たな手続き〜
今回は、相続の中でも少し複雑に感じる方が多い**「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」**について解説します。
代襲相続って何?
代襲相続とは、本来相続人となるべき人が、被相続人(亡くなった方)よりも先に亡くなっていたり、相続権を失っていた場合に、その人の子や孫が代わりに相続する制度です。
具体例
例えば、被相続人(父)が亡くなり、相続人が妻と子2人(長男・次男)だとします。
このとき、長男が父よりも先に亡くなっていた場合、長男の子(つまり孫)が長男に代わって相続人になります。
このように、子が亡くなっていた場合に孫が相続するのが「代襲相続」です。
代襲相続の範囲はどこまで?
代襲相続が認められる範囲は次のとおりです:
✅ 直系卑属(ちょっけいひぞく)の場合
→ **子 → 孫 → ひ孫…**と、代襲は何代でも可能です。
例:子が先に亡くなっていて、その子(孫)も亡くなっている場合は、ひ孫が代襲相続することができます。
✅ 兄弟姉妹が相続人の場合
→ 兄弟姉妹が亡くなっていた場合は、その甥や姪が代襲相続します。
ただし、甥や姪の子(再代襲)は認められません。一代限りの代襲となります。
🎯 図:代襲相続の基本パターン
📌 パターン①:直系卑属に代襲相続が発生する例
┌────────────┐
│ 被相続人(父) │  ← 亡くなった
└────┬───────┘
     配偶者(妻) = 相続人(常に相続人)
      │
 ┌────┴────┐
 │         │
長男(死亡) 次男(健在) ← 相続人
 │
孫(長男の子) ← 相続人(代襲相続)
✅ この場合の相続人:
- 配偶者(妻)
 - 次男
 - 孫(長男の子)←長男の代わりに相続
 
📌 パターン②:兄弟姉妹が相続人で、甥・姪が代襲する例
┌────────────┐
│ 被相続人(独身)│ ← 子も親もいない場合
└────┬───────┘
     兄弟姉妹(死亡)
          │
       甥・姪 ← 相続人(代襲相続)
✅ この場合の相続人:
- 甥・姪(兄弟姉妹の代襲相続)
 
❗ 甥・姪の子(つまり再代襲)は 相続人になれません
養子縁組と代襲相続の関係
- 養子縁組後に生まれた子 → 代襲相続が可能
 - 養子縁組前の子(連れ子) → 法律上の親子関係がないため、代襲相続はできません
 
これも誤解が多いので、注意が必要です。
相続欠格・排除の場合は?
相続欠格(例:被相続人を殺害しようとした)や相続排除(遺言で相続権を剥奪された)に該当すると、本人は相続できません。
しかしその場合でも、その子(孫など)には代襲相続が認められます。
本人に相続権がなくても、子には影響しないのがポイントです。
代襲相続ができないケース
代襲相続が認められない場合もあります。
❌ 相続放棄した場合
→ 相続放棄をすると「最初から相続人でなかった」とみなされるため、その子も代襲相続できません。
❌ 配偶者
→ 配偶者には代襲相続の制度はありません。 夫や妻が先に亡くなっていても、その代わりに誰かが相続することはありません。
❌ 直系尊属(父母や祖父母)
→ 代襲相続は、**下の世代(子・孫など)**が行うものなので、上の世代である直系尊属には発生しません。
代襲相続人は遺産分割協議に参加するの?
はい、代襲相続人も正式な相続人です。
そのため、遺産分割協議には必ず参加する必要があります。
代襲相続人が抜けたまま協議を行うと、その協議は無効になる可能性があります。
相続人の確認は早めに、確実に行いましょう。
まとめ
今回は「代襲相続」について解説しました。
- 代襲相続は、相続人が先に亡くなっていたり相続権を失っていた場合に、その子が相続する制度
 - 直系卑属なら何代でも代襲可能、甥姪は一代限り
 - 相続放棄をした場合は、代襲相続も不可
 - 代襲相続人は遺産分割協議に必ず参加が必要
 
相続の場面では、**「誰が相続人なのか」**を正確に把握することがとても大切です。
相続手続きにお困りの方へ
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次回は、また別の相続に関するテーマでお届けしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。