先日までに「相続」「遺言」「生命保険」について書いてきました。
本日は、実際に多くの方が直面する 銀行での相続手続き についてお伝えしたいと思います。
銀行での名義変更に必要な書類
銀行で相続の手続きを行う場合、主に次の書類が必要となります。
遺言書がない場合
- 銀行所定の相続手続き書類(相続届とも呼ばれます)
- 被相続人の出生からの戸籍謄本(相続人を確認するため)
- 被相続人の除籍謄本(死亡の記載があるもの)
- 相続人全員の戸籍謄本(生存確認のため)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の名義のキャッシュカード・通帳
※遺産分割協議書がある場合は、併せて提出が必要です。
遺言書がある場合
- 遺言書
- (検認が必要な場合)検認証明書
- 被相続人の除籍謄本
- 遺言で指定された財産を受け取る方の印鑑証明書
- 被相続人の名義のキャッシュカード・通帳
金融機関によって必要書類は若干異なる場合がありますので、事前に確認しておくと安心です。
また、戸籍謄本の提出は法定相続情報一覧図の作成によってまとめることができます
法定相続情報一覧図と相続関係説明図
- 法定相続情報一覧図
戸籍一式を法務局に提出することで作成できる公的な書類です。5年間保管され、無料で交付を受けられます。複数の金融機関で手続きをする際に非常に便利です。 - 相続関係説明図
自分で作成できる相続関係図ですが、公的な証明力はありません。そのため、戸籍謄本の提出を求められる場面では補助的にしか使えません。
預貯金仮払い制度
相続手続きが終わる前でも、一定額まで相続人が単独で払い戻しを受けられる制度です。
- 払い戻せる上限額:
- 150万円
- 〔被相続人の預金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分〕
のいずれか低い方
生活費や葬儀費用など、急な支出が必要なときに利用できます。
必要書類の例:
- 被相続人の戸籍謄本または法定相続情報一覧図
- 相続人の戸籍謄本
- 払い戻しを受ける相続人の印鑑証明書
残高証明書の取得
遺産分割協議を行う際や、遺産分割協議書を作成する際には、被相続人の亡くなった日の残高証明書が必要になります。
必要書類の例:
- 被相続人の除籍謄本
- 請求者の戸籍謄本
- 請求者の印鑑証明書
口座の凍結に注意
銀行に相続の届け出をすると、被相続人の口座は凍結されます。
凍結後は引き落としやATMでの出金ができなくなりますので、公共料金やクレジットカードの引き落としなどは事前に確認しておきましょう。
まとめ
銀行での相続手続きは、必要書類が多く、金融機関の数が多いほど大変になります。複数口座をお持ちの方は、生前に口座を整理しておくことも大切です。
行政書士は、戸籍謄本の収集、相続人の確認、相続財産の調査、法定相続情報一覧図の作成などをお手伝いできます。銀行での相続手続きでお困りの方は、ぜひご相談ください。
次回は生命保険の相続について書きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。