相続の手続きについて 相次相続控除 相続分の放棄、譲渡編

前回は「再転相続」「数次相続」についてお話ししました。
前回のブログ 相続の手続きについて 再転相続 数次相続編

本日は、「相次相続控除」「相続分の放棄」「相続分の譲渡」についてご説明したいと思います。


◆ 相次相続控除とは?

相次相続控除とは、10年以内に続けて相続が発生した場合に、相続税の負担を軽減するための制度です。
なぜこの制度があるかというと、短期間に複数回の相続があると、その都度相続税が発生し、相続人の税負担が過大になることがあるためです。

【具体例】

  • 祖父が亡くなり、父が財産を相続して相続税を支払いました。その後10年以内に父が亡くなり、今度は子が財産を相続した場合。
  • 父が亡くなり母が相続、相続税を納めた後、10年以内に母が亡くなり、子が相続した場合。

このように、前回の相続時に納付された相続税の一部が控除される仕組みです。


◆ 相次相続控除の適用条件

相次相続控除を受けるには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 相続する人が法定相続人であること
  • 前回の相続が発生してから10年以内であること
  • 前回の相続において相続税が発生し、納付されていること

※ 例えば、前回の相続で相続税が発生していない場合には、相次相続控除は適用できません。


◆ 相続分の放棄とは?

「相続分の放棄」とは、相続人としての地位は残したまま、プラスの財産(預貯金や不動産など)の取得を放棄することです。
これは「相続放棄」とは異なります。

相続放棄のブログ 相続の手続きについて 相続放棄編

【相続放棄との違い】

比較項目相続放棄相続分の放棄
手続き家庭裁判所への申述が必要(3ヶ月以内)遺産分割前に行えばOK(期限なし)
相続人の扱い最初から相続人でなかったとみなされる相続人としての地位は残る
財産の扱いプラスもマイナスも放棄プラスのみ放棄、マイナスは引き継ぐ
遺産分割協議不参加参加が必要(相続人のため)

◆ 相続分の譲渡とは?

「相続分の譲渡」とは、自身の相続分を他の相続人または第三者に譲渡することを言います。
全部を譲渡することも、一部だけ譲渡することも可能です。

  • 譲渡に他の相続人の同意は不要です。
  • ただし、譲渡された人は遺産分割協議に参加する必要があります。
  • 譲渡には期限はありませんが、遺産分割前に行うのが一般的です。

譲渡は有償でも無償でも可能ですが、その場合には譲渡益に対して所得税や贈与税が発生する可能性があります。
具体的な税額については、専門の税理士に相談されることをおすすめします。


◆ まとめ

本日は「相次相続控除」「相続分の放棄」「相続分の譲渡」について解説いたしました。

相続には細かいルールや、知っておくべき制度が多く存在します。
適切な知識をもって手続きを進めることが、トラブルを避ける第一歩です。

行政書士はら事務所では、相続手続きに関するサポートを行っております。
ご不明点やご相談など、いつでもお気軽にご連絡ください。

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次回は「遺言」または「生命保険」について書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。