「保障っていくら必要なの」
~高額療養費制度から考える“ちょうどいい保障額”とは~
こんにちは。行政書士はら事務所です。
先日は死亡保険についてご紹介しましたが、今回は「医療保険ってどれくらいの保障が必要なの?」という、お客様からよくいただくご質問にお答えしていきます。
前回のブログ 生命保険について 保障はいくら必要?①
よくある質問:「医療保険っていくら必要?」
医療保険のブログ 生命保険について③ 医療保険編
実際に入院や手術を経験したことがない方にとって、医療費がどれくらいかかるのか、イメージしにくいですよね。
死亡保険と同様に、「これが正解!」という保障額はありませんが、「これくらいあれば安心」という目安はあります。
それを考えるうえで欠かせないのが、高額療養費制度です。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、1ヶ月あたりの医療費負担に上限を設ける制度です。
この制度によって、医療機関や薬局で支払う金額が上限を超えた場合、超過分は後から払い戻されます。
※ただし、入院時の「食事代」や「差額ベッド代」などは対象外となります。
自己負担限度額の一例(70歳未満)
| 所得区分 | 自己負担限度額(月額) |
|---|---|
| 年収 約1,160万円以上 | 252,600円 +(医療費−842,000円)×1% |
| 年収 約770万〜1,160万円 | 167,400円 +(医療費−558,000円)×1% |
| 年収 約370万〜770万円 | 80,100円 +(医療費−267,000円)×1% |
| 年収〜約370万円 | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
💴70歳以上の 自己負担限度額の一例:
| 所得区分 | 外来(個人ごと) | 外来+入院(世帯ごと) |
|---|---|---|
| 現役並みⅢ(年収約1,160万円〜) | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 同左 |
| 現役並みⅡ(年収約770万〜1,160万円) | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 同左 |
| 現役並みⅠ(年収約370万〜770万円) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 同左 |
| 一般(年収約156万〜370万円) | 18,000円(年間上限144,000円) | 57,600円 |
| 低所得者Ⅱ(住民税非課税) | 8,000円 | 24,600円 |
| 低所得者Ⅰ(年金のみ等) | 8,000円 | 15,000円 |
【シミュレーション】医療費100万円かかったら?
ケース①:年収370万〜770万円の方
- 医療費:100万円
- 自己負担(3割):30万円
高額療養費制度での計算式:
80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1%
= 80,100円 + 7,330円 = 87,430円
差額:
30万円 − 87,430円 = 212,570円が戻ってくる
ケース②:年収770万〜1,160万円の方
- 医療費:100万円
- 自己負担(3割):30万円
高額療養費制度での計算式:
167,400円 +(1,000,000円 − 558,000円)× 1%
= 167,400円 + 4,420円 = 171,820円
差額:
30万円 − 171,820円 = 128,180円が戻ってくる
高額療養費制度があっても…持ち出しはある
上記のように、制度を利用しても約87,000〜17万円程度の自己負担は発生します。
さらに、食事代や差額ベッド代が加わるため、実際の出費はそれ以上になります。
そのため、医療保険を設計する際は「最低でも高額療養費制度後の自己負担額をカバーできる金額」を目安に考えると安心です。
医療保険はいくらあればいいの?
年収370〜770万円の場合:
👉 最低でも8万円〜9万円程度の保障が受けられると安心。
最近の医療保険では、入院時に「入院一時金」が支給されるタイプが主流です。
短期入院でも長期でも対応しやすい設計となっています。
例①:入院給付金+一時金あり
- 入院日額:5,000円
- 入院一時金:50,000円
- 入院日数:10日
👉 支給額:50,000円(入院給付)+50,000円(一時金)=10万円
自己負担額(例:87,430円)を上回るため、実質的な持ち出しはなし
例②:入院給付金のみ
- 入院日額:5,000円
- 入院日数:10日
👉 支給額:5,000円 × 10日 = 50,000円
自己負担額をカバーしきれないため、持ち出しが発生
結論:一時金つきプラン+日額抑えめがバランス◎
私は、入院一時金が支給されるプランを選び、入院日額は必要最低限に抑える設計をおすすめしています。
保険料を抑えつつ、短期・長期両方の入院に対応できるバランスの取れた保障になります。
医療保険と一緒に検討したいポイント
以下の特約や保障内容がついていると、さらに安心です:
- ✅ 入院日数120日まで対応(がん・脳疾患などに備える)
- ✅ 手術給付金(外来手術も対象になるもの)
- ✅ 先進医療特約
- ✅ 保険料払込免除特約(重篤な病気にかかった場合)
- ✅ 一定期間払込完了型(終身払いではなく有期払込)
行政書士として伝えたい医療保険のポイント
保険金請求の現場では、感謝されることもあれば、「これだけしか出ないの?」という声をいただくこともあります。
医療保険は、加入時の設計がとても大切です。
しかも、死亡保険に比べて内容がどんどん変わっていきます。
特に昔に加入した掛け捨て型保険は、いまの医療制度に合っていない場合も多く、請求できないケースも少なくありません。
加入中の医療保険、内容把握できていますか?
「何に入っているか忘れてしまった…」
「昔入ったまま見直していない…」
「相談できる人がいない…」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
行政書士はら事務所では、現在ご加入中の保険の内容確認や見直しのアドバイスも可能です。
営業目的ではなく、中立的な立場でアドバイスできるのが行政書士はら事務所の強みです。
お困りごとやご相談は、いつでもお気軽にご連絡ください
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次回予告:生命保険と税制の関係
次回は「生命保険に関わる税制」について詳しくご紹介したいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました