相続の手続きについて デジタル遺産とエンディングノート

先日は「法定相続情報一覧図」についてお話しましたが、今回は**「デジタル遺産」と「エンディングノート」**について書いていきたいと思います。
先日のブログ 相続手続きについて 「法定相続情報一覧図」編

その前に――
**先日書き忘れてしまった「戸籍謄本の広域交付制度」**についても、重要な制度ですので、改めて触れておきたいと思います。


戸籍謄本の広域交付制度とは

2024年から始まった制度で、本籍地以外の市区町村でも、戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍を含む)を取得できるようになった仕組みです。

これまでは、本籍地が遠方にある場合、戸籍謄本の取得には郵送請求が必要でした。
また、本籍が何度も変わっている場合出生からの戸籍を集めるのに時間と手間がかかるケースもありました。

制度によるメリット

この広域交付制度によって、現在住んでいる市区町村の窓口で、他市区町村の戸籍を取得できるようになり、手続き時間の短縮が期待できます。

ただし、利用にはいくつか制限があります

  • 取得できるのは以下の関係者のみです:
    本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母など)・直系卑属(子・孫など)
  • 兄弟姉妹・おじ・おば・甥・姪の戸籍は取得できません。
  • 申請者本人が直接窓口に出向く必要があります。
    • 顔写真付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)が必要です。
  • 郵送や代理人(委任状)での請求はできません。
  • 取得に時間がかかるケースもあります。
    混雑状況によっては、即日交付ができず、後日受け取りとなることもあります。
    時間に余裕をもって申請するのがおすすめです。

デジタル遺産・デジタル遺品とは?

デジタル遺産とは?

亡くなった方がデジタル形式で所有していた財産を指します。
たとえば次のようなものがあります:

  • ネット銀行口座
  • ネット証券
  • 仮想通貨(ビットコインなど)
  • FX(外国為替証拠金取引)
  • 電子マネー・各種ポイント(PayPayポイント、楽天ポイントなど)

デジタル遺品とは?

金銭的価値はないものの、故人が使っていたデジタル機器や保存データのことを指します:

  • パソコン、スマートフォン、タブレットなど
  • SNSアカウント(Facebook、Xなど)
  • スマホ内の写真・動画・連絡先
  • クラウドに保存していたファイル

これらは物理的な書類が存在しないことが多いため、相続人がその存在に気づかず、相続手続きを進めてしまうリスクもあります。
→その後、遺産分割協議をやり直すケースも。


デジタル遺産の管理にはエンディングノートの活用を

エンディングノートは、デジタル遺産の存在を相続人に知らせるための有効な手段です。

エンディングノートのブログ 遺言書について エンディングノートについて

エンディングノートに記載しておくべきこと

  • 所有しているデジタル財産の種類とサービス名(例:○○銀行ネット口座、〇〇証券など)
  • アクセス方法(ID・パスワードなど)
  • スマートフォンのロック解除方法(PINコード、指紋認証の代替手段など)

※パスワードの取り扱いには注意し、必要であれば定期的に更新しましょう。

また、生前整理も一つの手段です。
定期的に不要なアカウントやデータを整理しておくと、相続人の負担軽減にもつながります。

エンディングノートの位置づけ

  • 遺言書とは異なり、法的効力はありません
  • ただし、家族に伝えたい思いやメッセージ、感謝の気持ちなどを残すことができます
  • 特にデジタル資産が増える現代において、重要な記録手段になります

大和市の終活登録事業「ツナグ」の活用を

大和市では、**終活登録事業「ツナグ」**を行っています。

遺言書やエンディングノートを作成しても、どこに保管しているかを家族が知らなければ意味がありません。
この事業では、遺言書やエンディングノートの保管場所の情報を登録することが可能です。

  • 無料で利用可能
  • ご家族との情報共有にも役立ちます

→大和市にお住まいの方は、ぜひご活用ください。
大和市終活登録事業「ツナグ」リーフレット

大和市での終活登録事業の取り組み ブログ


まとめ

今回は以下の内容についてご紹介しました:

  • 戸籍謄本の広域交付制度
  • デジタル遺産・遺品
  • エンディングノートの重要性
  • 大和市の終活登録事業「ツナグ」

今後ますますデジタル化が進む中で、「本人しか知らない情報」が増えていく時代です。
相続手続きをスムーズに進めるためにも、わかりやすく記録を残しておくことが大切です。


行政書士は相続手続きのサポートいたします

行政書士はら事務所では、

  • 戸籍謄本の収集
  • 相続人の確認
  • 相続財産の調査・整理
  • デジタル遺産の管理アドバイス
  • 遺言書やエンディングノートの作成サポート

など、相続に関する様々なサポートを行っております。

ご相談は随時受け付けておりますので、
気になることや不安なことがあれば、いつでもお気軽にご連絡ください。

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次回は相続のことについて書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。